クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
私がもらった金額の倍の値段だった。

そんなの無理だ。

私が呆然としていると、朝比奈先輩がスーツの内ポケットから財布を取り出し、有名カード会社のブラックカードを抜いて店の男性に手渡す。

「これで、頼む」

え?何で朝比奈先輩が……?

私は慌てて朝比奈先輩の腕に手をかけた。

「待ってください!これは、もう売ったものです!何で先輩が買い戻すんですか!」

「自分の金で何をしようと俺の自由だ」

冷淡な声で言われ、私は怖くて引き下がる。

小さな紙袋に入れられた指輪を受け取ると、朝比奈先輩は私の腕をつかんで店を出て、人気のない路地に入った。

「ほら、もう売るなんてバカな真似はするなよ」

朝比奈先輩が紙袋を私に差し出すが、私は首を横に振って断った。

「それは、朝比奈先輩が買ったものです。もう私のじゃあありません!」
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