クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「じゃあ、ここに捨てて帰るか。俺は指輪に興味がない」

私の反応を窺いながら意地悪く言って、朝比奈先輩を紙袋からパッと手を離す。

「ちょっと!なんてことするんですか!」

地面に落ちる前に何とか紙袋をつかむと、朝比奈先輩に声を荒げて抗議する。

「そんなに大切なら売るな。人手に渡ったらもう二度と戻って来ないんだぞ」

「だったら、どうすればいいんですか?これ以上、朝比奈先輩に迷惑かけたくないんです!もうお荷物に……なるの……が嫌なんです」

紙袋を大事に抱えながら私が泣き叫ぶと、朝比奈先輩が少し身を屈めて私の頬にそっと手を触れた。

「迷惑なんて思ってない。もう圏外じゃないんだ。今はこうして俺の側にいるだろう?」

感情的になった私を朝比奈先輩が落ち着いた声でなだめる。

『圏外じゃない』?

まさか……私が昔告白したことに気づいたの?
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