クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「わかった」

軽く氷室に向かって頷くと、俺は自席に座ってじっとこちらを見ているひよこに目を向けた。

自分の名前が出てきたことに驚いているのだろう。

「池野、一緒に来い」

俺がひよこに声をかけると、ガタンという大きな音を立てながら彼女が椅子から立ち上がった。

「は、はい」

訳がわからないって顔をしている。

「では、一緒に来て下さい」

ひよこを横目でチラリと見ると、無表情で氷室が歩き出す。

「行くぞ」

俺はこの状況に戸惑っているひよこの腕を掴むと、後ろにいた真田が俺に顔を近づけ楽しそうに笑った。

「ついに会長が動いたか。面白くなりそうだね」

俺は真田に冷ややかな視線を返すと、ひよこを連れてスタスタと歩いて行く氷室の後をついていった。
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