クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「業務中に呼ばれたという事は、当然仕事に関する事でしょうね?」

刺々しい口調で言うと、じいさんは俺の目を見て口角を上げた。

「絢香から面白い話を聞いてのう。そこにいる陽世莉ちゃんと同棲しとるそうじゃないか。悠人、お前、自分の立場がわかっとるのか?将来アストライアの社長になるお前がそんなだらしない生活をしてたのでは、世間が何と言うか。それに、陽世莉ちゃんにも申し訳ないじゃろ?彼女に悪い噂が立ったらどう責任を取るつもりだ?」

じいさんに“ひよこに一時的に部屋を貸している”と言っても、通用しないだろう。

朝比奈の家は百三十年続いている名家だが、父には兄弟もいない。絢香はいずれよそへ嫁ぐ身。俺が結婚して子供が生まれなければ直系の血が絶える。

じいさんはそれを恐れているのだ。それに、朝比奈家以外の人間にアストライアの経営権が渡るのを良くは思っていない。

じいさんも七十だし、自分が生きている間に曾孫を抱いて朝比奈家が安泰だと思いたいのだろう。
< 153 / 297 >

この作品をシェア

pagetop