クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
そのために俺をすぐにでも結婚させたくて、執拗に俺に縁談を勧めた。

だが、それを俺がことごとく断ってきたものだから、じいさんは手を変えた。

自分が気に入った女を俺の側に置いて、俺が自分でその女を選ぶかどうか様子を見たのだ。

じいさんはさぞかし喜んだだろう。

今まで俺は縁談の相手には見向きもしなかったのだから。多分、選んだのは氷室だ。どの女も家柄も良くて、顔もそこそこ整ってはいたが退屈そうな女ばかりだった。

だが、ひよこは……俺の興味を引いた。

じいさんが何か企んでるとわかっていても、こいつを放っておくことは出来なかった。

俺を見てビクビクするあの態度。最初、こいつに近づいたのは単なる好奇心。

俺を避ける理由を知りたかった。だが、こいつの性格を知るうちにひとりにはしておけないと思った。

じいさんの罠にかかるとわかっていても……。

このじいさんは俺の口から言わせたいのだ。

“責任は取ると”。
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