クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
ならば、言ってやろう。

「責任は取りますよ。ですから、もう見合いは結構です」

涼しい顔でそう告げると、じいさんは満足そうに笑った。

「そうか。それならばよい。 陽世莉ちゃんは、わしのお気に入りじゃ、大事にしろよ」

責任は取るが結婚するとは言ってない。ひよこが自分の家を見つけるまでは面倒を見るという意味だ。

責任を取らないと言えば、じいさんは憤慨してまた俺に色々と干渉してくるだろう。

ひよこには悪いが、こいつと結婚するとじいさんに思わせておいた方が俺にとっても都合がいい。また毎週のように見合いをセッティングされたのでは堪らない。

それに、これを交換条件にひよこをうちに住まわせれば、今よりはうちに居やすくなるだろう。

ひよこが馬鹿な真似をして急にうちを出て行くこともないはず。

『迷惑』と彼女に思わせないことが必要だ。

思わぬ話の方向に驚いて、ずっと黙っていたひよこがここにきてようやく口を開いた。
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