クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「誤解を解かないと……」

ポツリと呟きながら朝比奈先輩に手を引かれ歩いていると、何故か営業課のオフィスではなく、空いている会議室に連れ込まれた。

「え?朝比奈先輩?」

私が戸惑っていると、朝比奈先輩は会議室の電気をつけ、「いろいろ話をする必要があるだろう?まあ、座れ」と言って手前にある椅子を引く。

先程の会長室でのやり取りを聞いて精神的に疲れていた私は、言われるまま椅子に腰かけた。

「……何で、『責任を取る』なんて言ったんですか?私と朝比奈先輩は恋人でもないのに」

膝の上でスカートをギュッと掴み、私はまだ立ったままの朝比奈先輩を見上げる。

「あの場はああ言うしかなかった」

「いいえ、今からでも遅くありません。私から会長にきちんと事情を説明すればわかってくれるはずです!」

私は必死に訴えるが、朝比奈先輩はそんな私を一笑に付した。
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