クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「信じられません。朝比奈先輩なら私なんかよりもっとふさわしい人が一杯いるのに」

「自分で言ってて辛くないか?自分を卑下しすぎだ。それに、会長の選択は悪くないと思う」

「え?それってどういう意味ですか?」

私が聞くと朝比奈先輩はクスッと笑った。

「何でもない。ひよこ、俺を助けると思ってしばらくは会長の前で俺の婚約者のフリをしてくれないか?」

私の目を見つめながら、朝比奈先輩が静かな声で言う。

『婚約者のフリ』?そんなのあり得ない。

私は朝比奈先輩の言葉に声を荒げた。

「冗談は止めてください!」

婚約者なんて……例えフリでも私になんか出来ないよ。

「本気だ。今まで会長にうんざりするほど縁談を勧められて、俺も疲れてるんだ。お前が婚約者の振りをしてくれるなら、変な女に邪魔されなくなって俺も仕事に集中出来る。お前が俺の家に同居する間でいい。会長には手を焼いていて困ってるんだ」
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