クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
でも、今は近くにいて彼の事が少しずつわかってきた。

意外に世話好きで優しくて、結構よく笑う。意地悪なところもあるけど……それも彼の魅力なのかもしれない。

卒業式の時の事を先輩は謝ってくれたけど、本当に謝るべきだったのは私だ。

朝比奈先輩の事を何も知らないで告白なんかして、私は……彼に対して失礼だった。

高校の時のあの感情はただの憧れ。

じゃあ……今は?好きでもない人とキス出来るの?

ダメ……考えるな。考えちゃダメだ。

「……ひよこ?」

朝比奈先輩に声をかけられハッと我に返り、慌てて目を開ける。

視界に映る彼の顔にドキンとして、私はすぐに視線を逸らすと、作り笑いをした。

「……ボーッとしちゃって。あ、朝比奈先輩って、品行方正に見えるのに、実はそうじゃないんですね。会社でこんな悪戯にキスするなんて……」
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