クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「あれっ、違った?朝比奈さん、目が怖いですよ。冗談ですってば、冗談」

織田君がバシバシと朝比奈先輩の背中を叩きながら、ハハハっと声を上げて笑う。

「織田、痛い」

朝比奈先輩が鋭い眼光で織田君を一睨みすると、織田君はビクッと固まった。

誤解のないように朝比奈先輩にちゃんと説明しないと……。

私は朝比奈先輩を仰ぎ見ると、眉間にシワを寄せている彼の目を見て言った。

「佐藤さんへのプレゼントを買いに行くんです」

昨日、婚約者のフリを頼まれたばかりなのに、他の男とデートする軽い女だなんて思われたくない。

「ああ」

私の説明に納得してくれたのか、朝比奈先輩は軽く頷いた。

ちゃんと私の目を見て頷いてくれた事にホッとする。

信じてもらえて良かった。

「織田、そういう冗談はよくないな。巻き込まれる池野さんが可哀想でしょ。池野さんに恋人いたらどうするの?」
< 175 / 297 >

この作品をシェア

pagetop