クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「いてっ」

織田君が頭を押さえて呻く。

「誰でも彼でもベタベタ触るな。ひよこが困惑してるだろう」

「……はい。すみません」

朝比奈先輩の顔をじっと見ながら織田君が謝る様子を見て、真田さんが肩を震わせ笑っている。

そんな真田さんを横目で睨むと、朝比奈先輩は織田君に注意した。

「ひよこを付き合わせるのはいいが、あまり連れ回すなよ。明日も仕事だからな」

「……はい」

織田君が朝比奈先輩の様子を窺いながら小声で返事をすると、朝比奈先輩は自分の席に戻っていく。

そんな朝比奈先輩の後ろ姿を、織田君はどこか訝しげに見ていた。

「織田、上司の忠告は真面目に聞いてね。朝比奈を本気で怒らせると怖いよ」

真田さんが織田君の肩をポンと叩くと、真田さんも席に戻る。

「織田君、早くしないと選ぶ時間なくなっちゃうよ」

私はボーッとしている織田君に声をかける。
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