クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
私の前にタクシーが横付けされたと思ったら、タクシーのドアが開いて朝比奈先輩が現れた。

「悪い、待たせたな。行くぞ」

朝比奈先輩が私の手をつかんで、大通りを歩く。

「行くってどこにですか?」

私は早足で朝比奈先輩について行きながら彼を見上げると、彼は正面を見据えたまま言った。

「すぐ先のブランドの店」

すぐ先って……ハリウッドセレブ御用達のあの店?

そこに何で私も一緒に行かなきゃいけないの?

「ひょっとして絢香さんのプレゼントか何かですか?」

「いや、違う。お前の指輪を選びに行くんだ」

朝比奈先輩の言葉に驚いて私は立ち止まり、素っ頓狂な声を上げた。

「私の指輪~?」

「織田には感謝しないとな。俺も失念してた。悪い虫がつかないように、お前には魔除けが必要だ」

朝比奈先輩は私の顔を見ながら、ニヤリと黒い笑みを浮かべた。
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