クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
14、彼のもうひとりの同期
次の朝、朝比奈先輩が買ってくれた指輪を左手の薬指にはめて会社に出勤する。

私は買う必要なんてないって言ったのに、彼は全く聞く耳持たなかった。

『指輪をしてれば、男がいるって普通は考えるだろう?』

『それはそうですけど、私は朝比奈先輩みたいにモテませんから必要ないです』

きっぱりそう言うと、朝比奈先輩は呆れ顔で私を見た。

『お前……自分がアプローチされてるのにも気づいてないのか?』

『は?誰が誰にですか?』

意味がわからなくて聞き直すが、朝比奈先輩は額に手を当てハーッと深い溜め息をついた。

『……いや、何でもない。無自覚にも程があるな』

どこかあきらめ口調の朝比奈先輩に、私は珍しくきっぱりと断った。

『とにかく、指輪なんて高価なもの必要ないです。織田君に今日指摘されたばっかりなのに、私が急に指輪はめたら織田君に怪しまれるじゃないですか?あの場にいた朝比奈先輩か真田さんが私の彼氏だって疑われますよ』
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