クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
婚約者のフリをするのは会長の前でだけなんだから。

これなら朝比奈先輩だって納得するだろうって思ったのに、彼の反応は違った。

『それでいい。織田には俺の存在を知ってもらう必要がある。お前の周りをうろちょろされると、会長が変に思うだろう?』

結局、会長に怪しまれないためだって説得され、百万近くもする超高級ファッションリングを彼に買ってもらった。

偽の婚約者にこんなにお金を使う必要があるんだろうか?

セレブの金銭感覚って理解出来ない。

丸みを帯びたプラチナの台に〇、五カラットのダイヤがはめ込まれたその指輪はシンプルでありながら上品で美しく、どこかのプリンセスがはめていてもおかしくない代物だ。

自分がこれで一財産持ってるのかと思うと、左手を動かすにもかなり神経を使う。

傷ひとつない状態で朝比奈先輩に返さなくちゃ。

私って……ほんと庶民だよね。この指輪が十キロぐらいの重さに感じる。

時間が経てば、この指輪にも慣れるんだろうか?

いつかこの指輪を外す事がわかっているのに?
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