クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
本当の恋人か婚約者なら、きっとすごく喜んだだろう。

でも、私は朝比奈先輩の恋人でも婚約者でもない。

この指輪を見てると、逆に自分が偽者だって思い知らされる。

私には高級すぎる指輪。

それに、これを見た時の織田君の反応を考えると頭痛がしそう。あ~あ、気が重い。

買った本人はクールな顔でパソコン画面を見ながら仕事をしている。

「池野さん、今日も早いね。おはよう」

佐藤さんが出勤してきて笑顔で私に挨拶する。

「おはようございます。昨日の旦那様とのデート、どうでした?」

「良かったよ。子供生まれたらしばらくはお洒落な店なんて行けないからね。いい思い出になったわ」

佐藤さんは嬉しそうに笑うと、私の左手に目をやる。

「池野さんこそ、その指輪、どうしたの?」
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