クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】

「はい」

どんなに困っても朝比奈先輩にだけは聞くのを止めよう。

そう思いながらパラパラとマニュアルを見ていく。

一日、一週間、一ヶ月の仕事の流れが書いてあってわかりやすそう。

佐藤さんにパソコンの操作を教えてもらいながら社内システムの説明を受けていると、慌ただしく一人の若い男子社員が入って来た。

「織田くん。遅刻ギリギリよ」

佐藤さんがちょっと怖い顔で目を細めて壁にかかってる時計を指差す。

「佐藤さん、おはようございます。すみません、僕、低気圧なんで」

男子社員が悪びれた様子も見せず、ニコッと笑顔を見せる。

ちょっと日に焼けてて、髪は明るめの茶髪。顔は小顔で整っててイケメン。身長は百七十五くらいかな？

「それを言うなら低血圧。今、わざとボケたでしょ？」

佐藤さんが呆れ顔で男子社員を見る。