クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
……私の話に若干引いてる。それでいい。私の妄想と思ってもらえば、嘘をついてもちょっと気が楽だ。

だって、婚約者のフリを頼まれただけで、私は朝比奈先輩の婚約者じゃないもの。

この指輪も、朝比奈先輩の家を出る時は返さなきゃいけない。

「ハハッ……そうですね」

乾いた笑いを浮かべながら適当に相槌を打つと、真田さんも出社してきた。

「おはよう」

真田さんがいつもの爽やかスマイルを浮かべるが、彼も私のはめている指輪に素早く気づいた。

「池野さん、その指輪、昨日買ってもらったの?」

チラリと朝比奈先輩に視線を向け、真田さんが悪戯っぽく微笑む。

……真田さんは、朝比奈先輩が買ったって気づいてるんだ。鋭いな。

「きっとこれ見たら、織田君がへこむわね」
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