クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
でも、その時、私の手の指輪が視界に映ったのか、数秒じっと凝視すると、次に朝比奈先輩に視線を向けた。

織田君の視線に気づいたのか、朝比奈先輩が微かに口角を上げる。

織田君は席に着いてパソコンを立ち上げると、私にだけ聞こえるようにボソッと呟いた。

「昨日……総務の女の子振り切った後に……朝比奈さんと一緒にいるの見たんだけど、そういう関係なの?その指輪、朝比奈さんが買ってくれたんだよね?」

うそ……。朝比奈先輩といるとこ、織田君に見られてたんだ。全然気づかなかった。

きっと、指輪を買った店に入るとこも見られたんだろうな。

「あの……実はそうなの。高校の時の先輩で……」

私は昨日、朝比奈先輩に練習させられた言葉を口にする。

知っている人に嘘をつくのはやっぱり辛い。

「そっか」

小さくそう呟くと、織田君はもう私には必要以上に話しかけず、仕事に集中した。
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