クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
資料の印刷が終わったのか、真田さんは資料を手に取り私のデスクの前で立ち止まる。

「あっ、はい。すぐに持っていきます」

私が返事をすると、真田さんは私に微笑んでからミーティングルームに入っていった。

私は席を立ち、コーヒーを準備してミーティングルームのドアをノックし、中に入る。

会ったのが久しぶりだったのか、三人は和やかに談笑していた。

「……それで悠人が私を冷ややかに睨んだのよ。あの時、悠人に蹴りを入れてやろうかと思ったわ」

フフッと五十嵐さんのルージュを塗った綺麗な唇が美しい弧を描く。

“悠人”って……朝比奈先輩の下の名前。

名前で呼ぶほど親しいんだ。

そう思うと胸が苦しくなる。

「本当に蹴りを入れてやれば良かったのに。なんなら、今からでも遅くないよ。こいつ、今、色ボケしてるからね」

真田さんが私をチラリと見てダークな笑みを浮かべる。

うっ、なんか嫌な予感。
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