クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】

アストライア社のが一台、ドイツ車が一台、イタリア車が一台。

絢香には『そんなに車持ってていつ乗るの？仕事ばっかしてるのに』と呆れ顔で言われるが、車が好きなのだから仕方がない。

じいさんも車を五台所有しているから、朝比奈家の血がそうさせるのかもしれない。

「未来の社長がそんな事言ってて良いのかしら？」

「アクセル踏んでエンジン音聞いて走る方が、一体感があって楽しいんだよ」

仕事の事も何も考えずにドライブするのは、俺にとって最高に楽しい時間と言える。

「男の人って子供みたいなとこがあるわよね。そんな事言ってると、時代の波に乗り遅れるわよ」

五十嵐が目を細め悪戯っぽく笑う。

「自分の趣味で会社を潰す気はないさ」

フッと微笑して俺が軽く返すと、五十嵐は疑いの眼差しを向けた。

「怪しいわね」