クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
朝比奈先輩の綺麗な横顔を見上げていると、彼が私に目配せする。

ああ……挨拶しろって事ですね。

「池野です。一生懸命頑張りますので、宜しくお願いします」

なんとか噛まずに挨拶をすると、私は頭を下げた。

「うちは軍隊じゃないし、そんなに固くならなくていいから」

朝比奈先輩が私の肩にポンと手を置く。

彼にとっては何気ない仕草だったに違いない。でも、私は……彼に触れられて心臓が止まるかと思った。

どうか……動揺してるのが顔に出ませんように。

私は顔を上げるとニコッと作り笑いをした。

こういう場面ってただでさえ凄く緊張するけど、今日はいつも以上に緊張した。

でも、顔を上げると営業課のみんなが笑顔で私を優しく迎えてくれて嬉しくなる。

まだわからないけど、ここはいい職場だなって思う。

それから、すぐに朝礼は終わり、私は佐藤さんについて一日の仕事の流れを教わった。
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