クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
ボーッとしてるように見えて、こんな時は勘がいいんだな。

だが……彼女とは過去に一度だけだし、彼女に興味はない。いらぬ心配というものだ。

「変な気を使うな。嫌なら乗せてない。今日、寝てないんだろ?目的地に着くまで寝てていい」

「寝てないですけど……そ、それは、朝比奈先輩に失礼ですよ」

俺に気を使ってそんな事を言っていたひよこだが、高速に入ると、目を開けていられなくなったのか、うとうとし始めた。

それでも、途中ハッとして必死で目を開けようと頑張るが、また目を閉じ……それを何回繰り返しただろう。

必死で睡魔と戦っている彼女に……愛おしさが込み上げてくる。

横浜を通過した辺りで、ひよこのスーっという小さな寝息が聞こえてきた。

「寝たか……」

横目でチラリとひよこに目をやる。

無防備な寝顔。とても気持ち良さそうに寝ている。

まあ、昨日は寝てないんだから当然か。
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