クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
彼女の寝顔を見ていると、自然と顔がほころぶ。

片手で交互にハンドルを握り、着ていた紺のジャケットを脱ぐと、ひよこにかけた。

それから三時間ほどずっと運転して目的地に着く。

その間、ひよこはずっと眠ったままだった。

「ひよこ、着いたぞ」

シートベルトを外すと、ひよこの肩を揺すって彼女に声をかける。

「う~ん、まだ……」

ひよこは寝言のように呟いて身じろぎするが、起きる様子はない。

そんな彼女の様子を見ていると、つい悪戯したくなる。

「ひよこ」

ひよこの耳元で囁き、彼女の頬に手を当てゆっくり口付ける。

キスを深めていくと、最初は反応がなかった彼女もさすがに異変に気付きびっくりしてパッと目を開けた。

俺はそんな彼女を見て、キスを止めると意地悪く告げる。
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