クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「悪い。外は結構風があるから、コートかジャケット羽織れよ」

「ここ……水族館」

目の前の建物と看板を見て、ひよこが驚いたように呟く。

女の子はたいてい水族館が好きだし、動物や魚に触れ合えばきっと喜ぶ……そう言って水族館を勧めたのは絢香だった。

「イルカに餌やりも出来るらしい。やってみるか?」

「いいんですか?」

ひよこの目がキラキラ輝く。

「もちろん」

せっかく来たんだ。楽しまなければ意味がない。

「じゃあ、早く行きましょう、朝比奈先輩‼」

ひよこが慌てて車のドアに手を伸ばす。だが、身体にかかっている俺のジャケットにようやく気づいたのか、彼女はおずおずとジャケットを俺に差し出した。

「あの……これ……ありがとうございます」

「ああ。慌てなくてもイルカは逃げないぞ」
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