クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
最近は悲しそうな顔や困惑した顔しか見てなかっただけに、彼女にとって息抜きになったのなら嬉しい。

楽しいひととき。彼女といると疲れを忘れる。

ずっとこんな時間が続けばいい。

そう願わずにはいられない。

ひよこはイルカとの時間を楽しんだようだが、俺は彼女が喜ぶ姿を見て楽しんだ。

彼女が愛おしくてならない。

もしひよこに引越し資金が貯まっても、彼女を笑って送り出す……なんて事、今の俺には出来ない。

絶対に手放せないし……他の奴にも譲れない。

このまま俺の側にいさせる。ずっと……。

その後、イルカやアシカのショーを見て、水族館を一通り見て回ると、俺達は水族館を後にし、今夜宿泊する温泉宿に向かった。

伊豆にある温泉宿『潮彩』は、朝比奈家がよく利用する宿で国の文化財にも指定されている数寄屋造りの宿。俺も子供の頃から何度も宿泊している。
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