クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
明治十二年創業の老舗旅館で多くの文豪や著名人が定宿としたことで有名だ。

旅館の玄関前に車を停車させると、若女将と男性の従業員が出てきて俺達を笑顔で出迎えた。

「お待ちしておりました」

俺は後部座席からひよこの分も荷物を取り出すと、従業員に手渡し、若女将の案内で宿の奥にある離れに向かう。

途中、木々が綺麗に紅葉していて、ひよこがキョロキョロしながら紅葉を眺めていた。

庭園は相変わらず綺麗に手入れされているし、ここに来るとホッとする。

いつも離れに泊まると、他の宿泊客には滅多に会わない。

離れには部屋が三部屋あり、内風呂と露天風呂がついている。

内風呂も露天風呂も海に面していて、晴れてる日は絶景を楽しめる。

部屋に入って座卓で俺が宿の宿泊カードに記帳している間、ひよこは離れの中を興味津々といった様子で見て回る。
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