クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
俺の言葉にひよこがボッと火がついたように真っ赤になる。

顔も体も真っ赤。

面白いな。

そんな事を思いながら、俺は立ち上がり「俺も入ってくる」とひよこに言うと、浴室に向かった。

風呂から上がると、二人で伊勢海老やアワビなどの海の幸を堪能し、今度は本館の風呂に浸かって部屋に戻ると、布団が二組並んで用意されていて、ひよこは目を丸くした。

「あの……部屋も三部屋もあるし、私の布団は隣の部屋に運びますね」

ヘラヘラと乾いた笑いを浮かべ、ひよこが挙動不審になりながら布団を隣に移動させるのを俺は楽しげに見ていた。

そして、電気を消して就寝。

襖を一枚隔てた向こうの部屋にひよこが寝る。

この展開は予想通り。俺の隣に寝る勇気はないだろう。

布団に入って目を閉じ、じっとしていると、何やら外で物音がした。

「朝比奈先輩?今の音、何でしょうか?」
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