クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
『陽世莉ちゃん、悠人がいないと寂しいじゃろう。少し早いがわしからのクリスマスプレゼントじゃ』

会長が私に向かってにっこり笑った。

『遊びではありませんよ。仕事という事を忘れずに』

氷室さんが私に冷ややかな視線を向けた。

『まあまあ、婚前旅行と思えばいい』

会長がハハッと声を上げて笑うが、氷室さんはギロッと会長を睨みながら私に忠告した。

『大事な新車発表の場です。くれぐれも朝比奈課長の邪魔はしないで下さい』

『……はい』

『あなたがいない間のフォローは私がしておきますから』

『ありがとうございます』

……氷室さんってちょっと苦手かも。無表情だし……。

それから慌ただしく営業課の人に色々とことづけ、急ぎの仕事を素早く片付けると、家に戻って荷物をスーツケースに詰め込んで、氷室さんの手配してくれたタクシーで成田へ。

途中、広尾にある朝比奈家の本宅に寄って絢香さんをピックアップ。
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