クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】

「すき焼き好きです！良いですね！」

私が笑顔を見せると、織田くんも目を細めて微笑み返した。

「楽しみにしてて。朝比奈さん、 陽世莉ちゃん大丈夫だって。 この日にするんで予定入れないで下さいよ。大事なスポンサーなんですから」

織田くんが朝比奈先輩に向かって悪戯っぽく微笑むと、朝比奈先輩は織田くんを見てフッと微笑した。

早く仕事を覚えて佐藤さんを安心させてあげなきゃ。

私は気を取り直して朝比奈先輩がデスクに置いた名刺を手に取る。今日、午前中に真田さんのを佐藤さんと一緒に発注したし、自分でやっちゃおう。

簡単に名刺発注が終わり、私は一息つこうと席を立ってコミュニティスペースに向かった。
コミュニティスペースには、冷蔵庫、レンジ、コーヒーマシーン、ポット、シンク、新聞や車関係の雑誌がある。

私は紙コップを二重に重ねて紅茶のティーバッグを中に入れ、ポットのお湯を注ぐ。だが、背後にあの人の気配を感じて私の身体は強張った。