クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「やっぱり陽世莉ちゃん!いつもと雰囲気違うからびっくりしたよ。東京で留守番じゃなかった?」

織田君がいつもの明るい様子でいてくれてホッとする。

もう朝比奈先輩との事は気にしてないのかもしれない。

「あの……会長に言われて。何かお手伝い出来ることない?何でもするよ」

ここでボーッと車を眺めてるのは、ちょっと落ち着かない。

「じゃあ、来場者に日本酒を渡してくれる?」

「うん」

織田くんから日本酒の入った紙コップを乗せたトレーを受け取り、来場者に笑顔で渡していく。

こういう営業的な事って、やるのは初めてだけど結構楽しい。

朝比奈先輩がこちらにやって来て声をかけようとしたけど、私はハッと息をのんだ。横に五十嵐さんがいたからだ。

彼女は黒のスーツに水色スカーフをつけていてシックで洗練された装いだった。

五十嵐さんが私を見て口角を上げ、朝比奈先輩の腕に手を絡める。

まるで朝比奈先輩は自分のもの……そう言っているかのように……。
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