クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
朝比奈先輩はいずれアストライアの社長になる人。

今……見てわかったじゃない?

朝比奈先輩がいる世界は……私の世界とは違う。

こんなドレス着てたって、誰も私を彼の婚約者だとは思わないだろう。

「 陽世莉ちゃん?」

織田君が心配そうに私の顔を覗き込む。

「本当に大丈夫だから」

「そうは見えないよ。僕じゃダメ?」

囁くような声で言って織田君が背後から私を抱き締める。

彼の行動に驚いた私は固まった。

「織田君……お願い、やめて!」

震える声で懇願するが、織田君は私から離れない。

「嫌だね!朝比奈さんとなんて似合わないよ!」

似合わない……。

ズキッと胸に突き刺さる織田君の言葉。

言われなくてもわかってる。

唇を強く噛み締めうつむく私の耳に、あの人の声が届いた。

「織田、ひよこから離れろ」
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