クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「織田君、ごめんね」

私の声に一瞬織田君が立ち止まるが、私の顔を見ずに行ってしまう。

五十嵐さんも私に向かって悲しそうな笑みを浮かべると、この場を去った。

「これで邪魔者はいなくなった」

フーッと溜め息をつくと、朝比奈先輩は抱擁を解いて私の顔をじっと見つめる。

「五十嵐さんの誘いを断ったって本当なんですか?」

「ああ」

朝比奈先輩が私の目を見て静かに頷く。

「どうして?」

朝比奈先輩が……わからない。

五十嵐さんは綺麗だし、有能だし、将来の社長夫人にふさわしいのに。

「愚問だ。お前がいるのに誘いに乗るわけない」

「でも……それはフリですよね?」

わかりきってる事を口にすると、朝比奈先輩は落ち着いた声でゆっくりと告げた。
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