クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
パーティの後、私は朝比奈先輩の部屋に強制連行され、バスローブ姿でベッドの上に座っている。

部屋はビジネス用のツインのシンプルな部屋だけど、窓から見える夜景は素晴らしい。

エッフェル塔もセーヌ川も見える。本当にパリに来たんだと実感する。

それにしても、てっきり絢香さんと同じ部屋に泊まると思っていたのに、朝比奈先輩の部屋に行くと私の荷物が当然のように置いてあって絶句した。

朝比奈先輩いわく、『モーターショーで部屋はどこも一杯だし、婚約者は一緒の部屋に泊まるのが普通だ』と。

だったら、絢香さんは泊まる部屋があるのだろうか?

このホテルは無理でもどこか違うホテルの部屋は空いてるだろうけど、みんなと同じホテルにいないと何かと不便だ。

私が「う~ん」と唸っていると、シャワーを浴び終えた朝比奈先輩が部屋に入ってきた。

「そんな難しい顔をしてどうした?」

バスローブ姿の彼は初めて見た。
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