クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
朝比奈先輩がベッドに近づき私の横に座ると私の頬に手をやる。

ドキンと胸が高鳴るけど、怖くはない。

むしろ、ずっと触れていて欲しい……そう思ってしまう私。

もっと朝比奈先輩に近づきたい。彼に抱き締めて欲しい。

「朝比奈先輩?」

私が上目遣いに朝比奈先輩を見上げると、彼は軽く溜め息をついた。

「もういい加減、その呼び名止めようか。悠人って言ってみろ」

「……悠人……さん?」

「まあ、今はそれで合格かな。おっ、ちょうど良いものが見られるぞ」

悠人さんが窓の外を指差す。その指の先を見れば、エッフェル塔がキラキラとダイヤのように輝いていた。

「うわぁ、キレー」

エッフェル塔のライトアップをじっと眺めていると、悠人さんが背後から私を抱き締めて来た。

「明日の展示会が終わったら、少しパリの街を散策してみようか?」
< 262 / 297 >

この作品をシェア

pagetop