クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
『いくら気まずいからって、そのまま無視するわけには行かない。一度、挨拶に行く』と言い張った悠人さん。

彼の言うことはもっともだと思う。でも、帰ってもきっと歓迎されない。

返事を渋る私に実家の連絡先を聞き出して、約束を取り付けたのは悠人さんだった。

まだ心の準備が出来てない。どうせなら年明けで良かったのに……。

休日だけど、悠人さんは紺のスーツ、私はピンクのワンピースという装い。

彼を両親に紹介するためだけど、正直、悠人さんの実家に行く方がまだ気が楽だった。

すごーく気が重い。実家に帰るのは八年ぶりだ。

インターホンを押すと、『はい』と継母が応対した。

一瞬にして身体が強張る私。

「陽世莉です」

そう短く告げると、父が玄関から顔を出した。
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