クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】

「そうね。この子、気が利かないし、不器用だし。恥ずかしいわ」

私は悔しくてギュッと唇を噛み締める。

我慢だ、我慢。ここで出て行っちゃいけない。それじゃあ今までと変わらない。

「僕の家族みんなが陽世莉さんを気に入っています。何かあれば全力で守りますし、ご心配には及びません」

悠人さんは私の手をギュッと握ると、全ての女性を虜にしそうな爽やかな笑みを浮かべる。

義理の母も妹も、彼の笑顔に見惚れてそれ以上は何も言わなくなった。

さすが……悠人さん。さっきの刺々しい雰囲気を一瞬で変えた。

穏やかに返すなんて凄い。私ならきっと……何も言えなくてうじうじしていたかもしれない。

私が『ありがとう』の意味を込めて悠人さんの手を握り返すと、彼は目を細めて微笑んだ。

それからは、平穏な時間が過ぎ、私はなんとか最後までいられた。