クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
男の人なのに色気ありすぎ。

そんな真田さんを正視出来ず、彼から視線を逸らして予め用意しておいた言葉を口にする。

「え~と、あの……ホテルの部屋が取れなくて。ここに泊めてもらえませんか?」

「社長の部屋はダメなの?」

予想していた真田さんの返答にシュンとなる。

「真田さんの部屋じゃダメですか?それとも……中に女の人……いるんですか?」

自分でも声が尻すぼみになるのがわかる。

数十秒の間。

……あ~あ、これは断られる。きっと真田さん、困った顔してるだろうな。

これから優しく諭されて、父の部屋に行かされる。相手にもされない。

でも、そんな惨めな思いをするのはごめんだ。

「ご、ごめんなさい。冗談です。忘れて下さい。お休みなさい」

真田さんの顔も見ずにペコリと頭を下げ、踵を返してこの場を去ろうとすると、「待って」と真田さんが私の腕を掴んだ。
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