クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「何を食べたら唇がかぶれちゃったの?」

佐藤さんの質問に、私は引きつった笑みを浮かべながら疑問形で答えた。

「……ドライフルーツですかね?マンゴーとか?」

佐藤さん、お願いです。これ以上突っ込まないで下さい。

「マンゴーで?本当は違う理由じゃないの?」

私に顔を近づけて声を潜めると、佐藤さんはニヤリとする。

私が返答に困っていると、織田君が今日も遅刻ギリギリにやって来た。

「あれっ、 陽世莉ちゃん、風邪引いたの?」

織田君が私に近づくなり、手を伸ばして私の額に触れる。

彼の行動に驚いた私は「きゃあ!」っと声を上げ、後ろにのけ反った。

「織田、セクハラだよ。朝礼始める」

朝比奈先輩が冷ややかな視線を織田君に投げると、織田君は頭をポリポリかきながら言い訳した。

「すみません。でも、 陽世莉ちゃんって可愛いからつい触りたくなるんですよね 」
< 35 / 297 >

この作品をシェア

pagetop