クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
二十五階建ての丸の内本社ビルには約八百人の社員が従事していて、私が面接を受けているのはそのアストライア自動車の海外事業部の営業課。

「へえ、池野さんも光仁高校出身なんだね」

真田さんは手に持っていた書類から目を上げると、少し驚いたのか目をちょっと見開いた。

はっ、……そうだよ、面接中だった‼何やってんの、私!

せっかく教授が紹介してくれたのに、面目を潰しちゃいけない。

「あっ、大きな声出しちゃってすみません」

私はペコリと頭を下げると、また椅子に腰掛ける。

「僕の後輩かあ。下の名前はよく『せい』とか呼ばれるけど、『あきら』ってちゃんと呼んでもらえるのは嬉しいよ。僕の一つ下かな?」

真田さんが柔らかな笑みを浮かべる。

目がもっと優しくなったように感じるのは気のせいだろうか?

でも、私の暴走に気を悪くした様子はない。
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