クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
ひよこの肩を軽く揺するが、彼女は「お水」と何度も呟くだけで起きない。

……仕方がないな。

溜め息をつきながらペットボトルの水を口に含むと、ひよこに口移しで飲ませる。

柔らかな甘いその唇。

汚れを知らない天使のようなその顔。

本来の目的を忘れ、そのままキスしそうになる自分を抑える。

ゴクリと喉を鳴らす音がして彼女から離れようとするが、彼女はまたうわ言を呟いた。
「……もっと……欲しい」

ひよこの言葉に苦笑する。

こいつ……俺の理性を試す気か?

それから、三回程口移しで飲ませただろうか。やっと満足したのかひよこは静かになった。

「意外と強欲なひよこだな」

フッと微笑すると、ひよこを抱き上げゲストルームに運びベッドに寝かせた。
< 59 / 297 >

この作品をシェア

pagetop