クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「いいえ、二つ下です。でも、凄く有名だったから、名前は知ってました」

「悪名高いって事じゃなきゃ良いけど」

「とんでもない。才色兼備で凄く優しくて真田先輩のファンの女の子だってたくさんいました」

私は真田さんの言葉を慌てて否定する。

「ふふ。ありがと。僕の事は真田で良いよ。でも、池野さんは僕のファンじゃなかったみたいだね」

綺麗なブランデー色の瞳が私の心を見透かすように私を見据える。

「え……えと、それは……あの……」

私は気まずくなって口ごもる。

この人……鋭い。

真田さんの事は知ってたけど、私はいつも彼の傍らにいた人しか見てなかった。

あの漆黒の瞳に引き寄せられたんだ。

「そんな焦らなくていいよ。僕にとってはむしろ好印象」
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