クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「思い出したみたいだな」

私をじっと観察するように見ていた朝比奈先輩が、うっすらと笑みを浮かべる。

あ~、穴があったら入りたい。

朝比奈先輩に胸を見られたなんて最悪だ。

なんで放置してくれなかったんだろう。

こんな恥ずかしい思いをするなら、熱で苦しんでた方がマシだ。

冷たい人じゃなかったの?一昨日の火傷の時もそうだったけど、なんで変に優しくするの?

朝比奈先輩という人がわからない。

昨日だって、私の事なんか気にせず帰ってくれれば良かったのに……。

一応上司だから仕方なく面倒見てくれたのだろうか?

だったら、尚更早く家に帰りたい。

「大変お世話になりました。私はこれで失礼します」

あまりのショックでお礼を言う口調も棒読みのような状態。
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