クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
一刻も早くこの場から去りたくて、身を起こしてベッドから出ようとするが身体に力が入らなくて足がもつれた。

「あっ!」

転んじゃう!

転ぶのを覚悟して目をつぶるが、側にいた朝比奈先輩が素早く動いて彼に抱き止められた。

「慌てすぎだ。熱があるんだから寝てろ」

細身なのに意外とガッシリしている朝比奈先輩の胸。

この感覚……身体が覚えてる。

確か……悪寒がして「寒い」って言ったら、朝比奈先輩がベッドに入って私の身体を温めるように抱き締めてくれて……。

……思い出さなきゃ良かったのに……何で思い出しちゃったんだろう。

あ~、もうこのまま死にたい。

朝比奈先輩の胸に手を当てて立とうとするけど、身体がフラフラしてまた彼の胸に寄りかかった。

「立つのも辛いんだろ?」
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