クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「……これ以上……ご迷惑をかけるわけには……」

昨日から何度口にしたかわからない言い訳を言ってみるが、朝比奈先輩の声は冷たかった。

「ここを出て行き倒れになる方がもっと迷惑なんだが。まともに立つことも出来ない人間が家まで帰れるのか?」

「……這ってでも帰ります。朝比奈先輩だって用事があるでしょう?これ以上、長居は出来ません」

思い切って顔を上げて朝比奈先輩の目を見て告げるが、彼は冷笑した。

「無理だな。で、何でそんなに急ぐ?」

話をはぐらかそうとしたが、朝比奈先輩には通用しなかったらしい。

彼を納得させるような上手い言い訳が見つからなくて、私は言葉に詰まった。

「それは……」

「怒らないから言ってみろ」

朝比奈先輩が目を細めて私を見る。

「……図書館のアルバイトがあって。アストライアに採用が決まる前からしていた土日のバイトで、明日で終わりなんです」
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