クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「え?」

「口移しで何度も飲ませたの、忘れたのか?」

口移し?何度も?

それは……記憶にない。嘘……だよね?私をからかってるの?

「覚えてないのなら、思い出させてやる」

朝比奈先輩が悪魔のように微笑んで身を屈めて私に迫ってくる。

「結構です!」

慌てて断って口を両手で押さえるが、朝比奈先輩に簡単に剥がされ彼に両手を拘束された。

先輩の力が強すぎて振りほどけない。

……これじゃあ、逃げられない。

怯えた目で朝比奈先輩を見ると、彼はこの状況を楽しんでいるのか口角を上げた。

「いい加減自覚した方がいい。そんな潤んだ目で男を見たら、男は襲うぞ」

朝比奈先輩の吐息を感じるくらい彼の顔が近づいて、私の身体は強張った。

ギュルル~。
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