クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
この人……自分の魅力を熟知してるよね。

「ありがとうございます!」

私も椅子から立ち上がり、目を細めながらにっこり微笑む真田さんの右手を両手で握って頭を下げた。

「明日から宜しくお願いします!」

嬉しくて思わず顔が綻ぶ。

前に派遣会社で紹介してくれた会社は全部だめだった。

二ヶ月前に今まで勤務していた大型書店をリストラされてどうなるかと思ったけど、これで食い繋げる。

大学時代の恩師に紹介してもらった土日の図書館のアルバイトだけじゃひとり暮しなんて無理だし、ここも不採用だったらどうしようかと思ったんだ。

両親とはあまり仲良くないし、実家に戻るという選択肢は私にはない。

「僕も池野さんみたいな可愛い後輩が入ってくれて嬉しいよ」

可愛い後輩……。真田さんって結構口も上手いみたい。

私は真田さんと一緒に面接していた会議室のドアの前まで歩くと、彼に向かって深くお辞儀をした。
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