クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
体調は良くなったのだし、長居は無用だ。

「ご飯、ご馳走さまでした。美味しかったです。私はもうこれで帰ります」

椅子から立ち上がろうとすると、朝比奈先輩が私を止めた。

「そう急ぐな。俺が送っていく。目も良く見えないんだろ?駅のホームから落ちたら大変だからな」

朝比奈先輩の指摘に、私は一瞬言葉をなくした。

……鋭い人。換えのコンタクトレンズがなくて、物を見るのに目を細めてるの……気づいたのかな。観察力がすごすぎませんか?

「そんなドジしません」

私が否定すると、朝比奈先輩は疑いの眼差しを向けた。

「どうだか?」

……私の評価低すぎない?私ってそんなに危なっかしく見えるんだろうか?

私は仏頂面で朝比奈先輩が食事を終えるのを待った。

それから、二人で食器を片付けると、朝比奈先輩がやっと私の服を返してくれた。
< 80 / 297 >

この作品をシェア

pagetop