クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「あの……ここでいいです。いろいろとお世話になりました」

顔を強張らせながらお礼を言って車を降りると、朝比奈先輩も何故か車を降りた。

「このまま帰れないだろ?」

いつになく優しい声でそう言って、朝比奈先輩が私の肩にポンと手を置く。

いつもなら“帰って下さい”と言うところだが、今の自分にはそんな元気もない。

うちのアパートのゴミ置き場にも大量の粗大ゴミが置いてあった。

多分……うちも床上浸水かも……。

無言で自分の部屋に向かい、バッグから鍵を出して恐る恐るドアを開ける。

目の前の光景に愕然とした。

玄関も部屋の中も泥だらけで物が散乱している。

この惨状。

どうしてうちが?

あまりのショックで声も出ない。
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