クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「良いよ」

溜め息交じりの声で呟いて、ロックを解除する。

タイミング悪く厄介なのが来てしまった。

ひよこを見たら根掘り葉掘り聞くだろうな。

ひよこに視線を戻すと、相変わらず体育座りでテレビを眺めていた。

インターフォンの音に何の反応も示さなかったし……この落ち込み様、気がかりでならない。

どうしたものかな?

そんな事を考えていると、部屋のドアベルが鳴った。

「やれやれ、抜き打ちチェックの始まりか」

苦笑いしながらリビングを出て玄関に向かい、鍵を開けて妹を迎える。

「今日はどうした?」

「妹が来るのに理由がいる?って、あれっ?誰かお客様?」

玄関の中に入るなり、ひよこのパンプスを目にした絢香が瞳を輝かせる。

「客と言えば客だが……」

俺が言葉を濁すと、履いていたキャメル色のムートンブーツを脱いで「ふうん、じゃあ本人に聞いてみるわ」と勝手な事を言って部屋に上がった。
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