クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「行くところがない……だったら、ここに住めば良いじゃない?お兄ちゃんの家、無駄に部屋が一杯あるんだもん」

絢香がいいアイデアと言わんばかりにひよこに向かってにっこり微笑む。

絢香のやつ……。

家主の俺を無視して無断で話を進める絢香に頭痛がした。

「いえ、そういう訳には……」

ひよこが絢香の勢いに気圧されてながらも、頭を振る。

「でも、次の家探すの大変でしょう?ここに住んでじっくり探すのがいいわよ。お兄ちゃんだって、そう思うわよね?」

“反論はしないわよね?”そんな目をしながら絢香が俺に同意を求めてくる。

正直言って、人に邪魔されるのが嫌でひとり暮らしをしているのに、他人と一緒に住みたくはない。

気軽に二三日人を泊めるのとは訳が違う。

それに、俺を怖がっているひよこが俺と同居したいとは思えない。

「本人の意志を尊重すべきだろう?」

俺が冷静に答えると、絢香は俺に食ってかかった。
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